この10月、NASAは木星の太陽周回軌道を共有するトロヤ群小惑星に探査機を送り出します。 木星より古いと考えられるこ小惑星は、40億年前の太陽系誕生の解明につながる手がかりとなる可能性があります。 探査機「ルーシー」は、エチオピアで発見された有名な古代の類人猿の化石にちなんで名づけられました。 科学者たちは、10月16日以降に打ち上げとなるこのミッションの成果が、1974年に最初の「ルーシー」が人類の進化について古生物学者に与えたインパクトに匹敵するものになることを期待しています。

ルーシーの旅程

 

ルーシーは2025年4月20日、小惑星メインベルト52246ドナルドヨハンソンにまず到達し、それからトロヤ群へと向かう予定です。 ドナルドヨハンソンは、初期の類人猿化石「ルーシー」を発見したアメリカの古人類学者ドナルド・ヨハンソンにちなんで名づけられました。 これは、ルーシーの探査において唯一のトロヤ群外の小惑星で、その後のミッションのテストとして位置づけられています。

トロヤ群小惑星は木星の前方と後方に位置する2つのスウォームに分かれており、どちらもミッションの探査対象となっています。 

 

まずルーシーは、木星の前方にあるL4トロヤ群と呼ばれる5つの小惑星に向かいます。

  • 3548 ユーリバテスと衛星ケータ

予定日:2027年8月12日
ユーリバテスは木星トロヤ群小惑星の上位60に入る大きな小惑星です。 

  • 15094 ポリメレ

予定日:2027年9月15日
この小惑星は、ギリシャ神話に登場するパトロクロスの母でメノイティオスの妻、ポリメレにちなんで名づけられました。

  • 11351 リュークス

予定日:2028年4月18日
リュークスは、ギリシャ神話のアカイア人の戦士の名前をとったものです。

  • 21900 オラス

予定日:2028年11月11日
オラスは「イーリアス」で殺害されたアカイア人戦士にちなんで名づけられました。

探査機はその後、一旦地球に向かってから木星の後方のスウォーム、L5トロヤ群へと航行を続けます。

  • 617 パトロクロスとその衛星メノイティオス

予定日:2033年3月2日
パトロクロスは、史上初めて発見された二重小惑星で、トロヤ小惑星の中では2番目に発見されました。

 

これで公式ミッションは終了しますが、ルーシーは木星の軌道に無期限に留まり、その後数年にわたってトロヤ群小惑星を訪れます。 

トロヤ群の地球からの観測

 

ルーシーは近距離からトロヤ群の様子を捉えますが、地球の市民天文学者もトロヤ群を観測することができます。 Unistellar Networkはすでにパトロクロス、オラス、リュークスを発見しており、今年後半にはユーリバテスとポリメレを見つけるチャンスもあります! 観測可能な場所と時期については、小惑星掩蔽予測ページでご確認ください。