NASAによるDARTは「ドント ルック アップ」を現実世界で実施するミッションとなります
巨大な彗星が地球に向かって直進している際に、これを阻止して人類を救うことは可能か?これは、ハリウッドの大ヒット作におけるテーマとなってきました。なかでもこの主題を扱って成功を収めた直近の作品「ドント ルック アップ」では、他作品よりも悲観的なビジョンが描き出されています。
レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスの演じるふたりの天文学者が、地球に向かって進んでいる巨大な彗星を発見し、競い合って警鐘を鳴らします。プラネタリーディフェンス調整局に脅威を警告するもふたりの尽力は功を奏さず、政治家やビジネス リーダー、著名科学者たちは、こぞって差し迫った危機を自身のキャリアに利用しようとします。最終的にふたりが地球を救うことができるのかはネタバレになるのでここでは触れません。

ただ映画の内容が現実の世界に起こった際には、映画よりも十分な対策を講じられていることを願ってやみません。

幸いなことに、ここ何年かに渡りNASAの科学者によって、小惑星と彗星による衝突対策が講じられてきました。危険な地球近傍小惑星の軌道を逸らすためには、いくつかの対策が考えられます。たとえば、核兵器で破壊する、大きな物体の重力を用いて軌道から離脱させる、宇宙機を衝突させるといった可能性が挙げられます。

2022年9月26日に、最新技術の実践に立ち会う好機が訪れます。同日の7時14分(EDT時刻)に、NASAのDART(二重小惑星軌道変更 実証実験)ミッションが予定され、ディディモス小惑星の衛星であるディモルフォスに宇宙機を衝突させ、その軌道をそらす試みが実践されます。この衛星や小惑星は実際に地球を脅かしているわけではありませんが、DARTを通じて接近する小惑星回避に向けたリアルな対策がテストされることになります。軌道周回している物体に小型の宇宙機衝突させるだけで、その軌道を変え、地球衝突のリスクを回避することができます。これは、「ドント ルック アップ」の科学者たちも試みています。ただし映画では、彗星をより小さく破壊力の弱い破片に分割させることがねらいとされていました。さらに、彗星がもたらす利益が明らかにされるやいなや、宇宙船を輸送するロケットはただちに地球に送り返され、試みが中断されることになります。現実世界では、映画とは異なるより良い対策が実装されることを願ってやみません!

Credit: NASA/ JHU APL. The DART launch.

DARTが実施される9月26日に、皆さまもUnistellarの望遠鏡を利用してこのスリルに満ちたミッションにリアルタイムで立ち会うことができます。ミッション観測の詳細は、こちらの全ブログ投稿をお読みください。

The fictional rocket launch in Don’t Look Up.